「電気の語源」はギリシャにあり!

わたしたちが普段から何気なく使っている「電気」という言葉。しかし、電気の正体を知らぬまま使っている人も多いのではないでしょうか。さらにその語源や由来となると、電気業界で働く人や雑学マニアでもない限り知らないのでは?
今回はそんな電気の語源についてご紹介します。

電気の正体は?

電流や摩擦電気、放電などを一般的には「電気」あるいは「電気現象」と言います。また、家庭などでよく使う言葉として「電気をつけて!」がありますが、このように電灯を指す意味でも使われています。ちなみに、電気の正体である電子は、1897年、イギリスの物理学者サー・ジョゼフ・ジョン・トムソンによって発見されました。

なぜ「電気」と呼ぶのだろう?

話はまず、静電気の発見にさかのぼります。約2,600年前、天然樹脂の化石である琥珀(こはく)をこすると、チリやワラの切れ端などが吸いつくという現象が発見されました。電気は英語ではエレクトリシティ(electricity)と言いますが、これはギリシャ語で琥珀を意味するエレクトロン(electron)が語源となっています。

「電気」という二文字はそのelectricityの訳語として、中国から日本に伝わったとされています。中国語で「電」は雷の別名であり、「電気」はいわば「雷の素」という意味になります。日本では当時、オランダ語の音訳に由来する「越歴(エレキ)」といった言葉も使われていましたが、江戸末期には専門書などで「電気」の表記が一般的になっていきました。

まだまだある!電気の「言葉」

電気製品の取扱説明書を読んでいると、ボルト、ワット、アンペアなどの言葉が出てきます。これらは電気に関係する単位ですが、そのほとんどが人物名に由来しています。
簡単にですが小ネタを交えつつこれらを紹介します。

アンペア(A)

これは電流の単位を意味します。18世紀から19世紀にかけて活躍し、アンペールの法則を発見したフランスの物理学者アンドレ=マリ・アンペールの名前が由来となっています。名前の綴りがAmpèreだったため、日本では英語読みの「アンペア」表記が採用されました。

ボルト(V)

電圧の単位、ボルト。こちらは18世紀に活躍したイタリアの科学者アレッサンドロ・ボルタの名前から来ています。1800年に発明した初期の電池「ボルタの電堆(でんたい)」は、海底にすむシビレエイの体の仕組みをヒントにしたものでした。

ワット(W)

普段からよく耳にするワットは電力(仕事率)の単位。18世紀に活躍したイギリスの発明家ジェームズ・ワットの名がその由来です。ワットは蒸気機関の改良に尽力し、イギリスのみならず全世界の産業革命の進展に寄与した人物として知られています。

オーム(Ω)

こちらは抵抗の単位。意味は忘れていても、ぷっくり膨れたお餅のような記号を覚えている人は多いかもしれません。オームは18世紀に活躍し、オームの法則を発見したドイツ科学者ゲオルク・オームの名にちなんでいます。綴りはOhmなので本来であればO(オー)が単位として使われるべきでしたが、数字のゼロと混同し易いため、ギリシャ文字のΩ(オメガ)が使われています。

ヘルツ

周波数の単位ヘルツも日常的に見たり聞いたりする言葉です。これは19世紀に活躍したドイツの物理学者ハインリヒ・ヘルツの名前に由来します。ヘルツはイギリスの理論物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルが1864年に予言した電磁波の存在を、24年後の1888年に実証しました。

ガウス

これは磁気(磁束密度)の単位。18世紀に活躍したドイツ人の数学者であり天文学者ヨハン・カール・フリードリヒ・ガウスの名がその由来です。ガウスの名が付いた法則、記号、単位等は他にもまだまだたくさんあり、国際数学連合とドイツ数学会はガウスの事跡を記念して「ガウス賞」を2002年に創設しました。

エジソン

最後は、電球の口金サイズとして目にする「E17」や「E26」といった表記。このEは、電球を発明したことで知られるトーマス・エジソン(Edison)の頭文字が由来です。ちなみに数字部分は電球の取り付け部分の直径を表しています。

まとめ

普段はその意味を知らずに使っている言葉も、その正体や意味、名前の由来を知ると興味が湧いてきませんか。また雑学として覚えておけば、「アンペアは人の名前だって知ってた?フランス人なんだよ」などと、家族や友達との会話のちょっとした小ネタとして使えるかも知れません。

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